栄養・サプリのアップデート連載1:ココナッツオイル

 

 日本では3年位前からブームになり、健康食どころかスーパーフードとしてすっかり定着してしまったココナッツオイルですが、今年6月になって大事件がありました。米国心臓医学会が「ココナッツオイルは体に悪い。心臓病、循環器系疾患のリスクを上げる。悪玉コレステロール (LDL) も上昇する。」という声明を学会誌への投稿論文を通じて発表したのです。

 

https://www.usatoday.com/story/news/nation-now/2017/06/16/coconut-oil-isnt-healthy-its-never-been-healthy/402719001/

 

 もともとココナッツオイルには医学界でも賛否両論がありました。ココナッツオイルは飽和脂肪酸(簡単に言うと、常温で固まる油)ですから、皮下脂肪のように固まったり、体内を流動しにくいのであれば、血管に悪いのは自明です(豚脂のラードが白く固結しているような感じです)。これに対し、DHA, EPAなど魚(特に青魚や鮭・鯖など寒い地域の魚)の油は冷たい水の中でも脂が固まらずに体内を循環するよう、サラサラしているので、我々の食料としては理想的な油のタイプなのです。ただし、不飽和脂肪酸であっても、トランス脂肪酸(キャノラ油、カノーラ油、水素付加したやし油、植物油)など、体に明らかに悪い物もありますから、注意が必要です。

 

 

 上記のアメリカ心臓学会の発表に対し、ココナッツオイルは善玉コレステロール(HDL)を増やすという研究結果もありますので、一概に悪いとは言えないのでは?という専門家もいます 〔以下の動画など〕。

 

 

 この医学会の発表に対し、アメリカの健康グル、セレブを中心に猛反対の動きがあります。中には「医学会が食品業界の支援の下に行った、バイアスのある研究結果だ」と断言している有名グルも複数居ます〔以下の動画など〕。私も調べて見たのですが、今の所、そのような直接的な証拠は見つかっていません。

 

 

 では、常温で固まる飽和脂肪酸なのにどうしてココナッツオイルがもてはやされたか、というと、その成分(全体の約半分にあたる)である中鎖脂肪酸(MCTオイル)です。ココナッツオイルの残りの成分が固形成分に相当し、MCTオイル自体は常温では液体ですから、MCTオイルを直接摂取していれば心臓に基本的に悪い飽和脂肪酸の摂取を控える事が出来ます。

 

 また、MCTオイルは他の栄養素のように肝臓を経由する事なく、ケトン体へと分解され、直接エネルギーとして使われるために、肝臓に負担をかけることなく、活力の源となりますし、実際、最近流行りのケトジェニック・ダイエット(Ketogenic Diet)や糖質制限食でも使われていますし、日本でも昔から介護の必要な高齢者や未熟児のエネルギー源として使われています。糖質だと 1 g あたり 4 kcal ですが、脂肪だと 9 kcal になり、しかも肝臓などの消化器官に負担を掛けないので、取りすぎなど、摂取量やタイミングに注意していれば、理想的な栄養素なのです。また、脳は糖質起原のグリコーゲンだけでなく、ケトン体もエネルギー源として直接利用する事が出来ます。

 

 

 このため、私も上記のニュースを聞いてから、ココナッツオイルを控え、(ココナッツオイルを精製して作られる)MCTオイルをドレッシングなどとして使うようになりました。いろいろ試したのですが、上記の仙台勝山館の物が私のお気に入りで、成城石井で購入しています。調理の際に加えるのは、オリーブ油(Extra Virgin Olive Oil)のみです。他の植物油、特にキャノラオイルなどトランス脂肪酸系はマーガリンと同じく、アメリカなど欧米諸国の大半で禁止となっていますから、ご注意を。また、どの油を使おうと、揚げ物は脂が過剰に酸化してしまうので、避けた方が良いです。ノンフライヤーを使い、後で新鮮なオリーブ油など健康的な油をかけて食べるのをお勧めしますが、これについてはいつか別の記事で紹介しますね。