男性ホルモン と 注意力欠陥・多動性 (1)

 

 このサイトの読者 で、 LOH症候群を患っており、私へ何度も問い合わせを下さる方がいらっしゃるのですが、ここ数日の記事にも書きましたように、私の体調不良(身体機能は運動・栄養などで良好を保っていますが、認知力、特に短期記憶・ワーキングメモリーが最近かなり不調)のため、的確な返答が出来ないと思い、ここで(返答を兼ねた)記事の公開はまだしないでいます。ところが、その方から今朝来た質問が、

 

「注意力欠陥障害(ADD)、注意力欠陥多動性障害(ADHD)のような 症状があり、自分でも気付かぬうちに突飛な言動を取っているらしく、周りが笑っているので とても心配です。(ホルモン充填療法など)LOH症候群の治療はずっと受けているのですが、その担当医に ADD・ADHDの ひどい症状で支障があることを相談しても『心配ないよ。』と 真面目に取り合ってくれません。」

 

という物でした。私も自分がLOH症候群であると診断されるまで、自分がADDであると数年間ずっと思い続けていたので、お気持ちはよく解ります。その位、両者の症状は良く似ていますし、間違われる(誤診される)事も しばしばです。そこで、今日は日曜日という事もあり、この件について(電車の中、運動中など、今朝から1日ずっと考えた事、数年前から勉強していて覚えている事を)以下に 今の私に出来る最大の範囲で お答えします。

 

 LOH症候群がADDなどと誤診される理由の原因としてよく取り上げられているのは、どちらもエネルギーの低さ、疲れ、無気力を伴うという物で、上のビデオ(英語)でも、テストステロン値の低さがADDやADHDに似た症状を引き起こし、間違われる、と説明されています。ADDやADHDについては、以下のマンガ本が一番解りやすいです。

 

めざせ!ポジティブADHD
あーさ
書肆侃侃房

 

 このマンガ本の概要について、序章的な物を著者の方が以下のビデオ2編にまとめて下さっています。これらの動画も良いのですが、ADHD, ADDやアスペルガーなどの軽度(広汎性)発達障害について知りたい方は、上記のマンガ本を読まれることをおススメします。

 

 

 冒頭のビデオ(英語)中の専門家(アメリカ人の医師2人)の話によると, LOH症候群のようにテストステロン値が低い人たちの症状のうち、「ADD、ADHDに 似た症状」の例というのが、以下のようになります。

 

●注意力が散漫になる(他人と話している時に、メールをチェックしたり、書いて送ったり)

 

●いろんな事に手を出したかと思えば、一つの事に集中し過ぎて(over-committment)、他がおろそかになる

 

●自分では時間内に終わらないような予定を次々と入れてしまう(over-booking):時間の見積もりが下手になる

 

●同時に複数の作業(マルチタスク)を本人がやっているつもりでも、実はどれも中途半端で終わっている事が多い

 

●上記の様に(非効率とはいえ)エンジンがかかる事(多動性?)がある一方、疲れている事、エンジンがかからなくなる時間が多い(多動性を伴うADHDの人も、多動的・あるいは衝動的に近い行動を起こさない時、つまり大半の時間はエネルギーもテンションも低く、おとなしい事が多いです。ADHDの方は いつもドタバタしているようなイメージがありますが、誤信です)。

 

 どれも私のここ数年の症状で、今でも続いていますが、今では、これらはADD、ADHD(最近は まとめてAD/HDと表記されることが多い)によるものではなく、LOH症候群(テストステロン値が低いため)に脳が交錯して起こす症状である、と現状を受け入れ、対峙しています。直ぐには治りませんが(現在治療中ですからね)、そんな自分に「ああ、これはLOH症候群の典型的な症状なのだ」と考えるようになり、上のビデオのような動画や他の専門家・患者さん体験談をもっと知る事によって確信が強くなり、 以前ほどイライラする事は少なくなりました。ただ、「LOHについて、こんなに取り組んでいるのに、まだ治らない!」と 落ち込む事は今でもありますが。

 

 また、低テストステロン値による これらの症状は、

 

● 心因的な病気(うつ、強迫神経症OCDなど)

● 甲状腺など他のホルモン(内分泌器官)の障害

● 糖尿病

● 炭水化物の取りすぎ(High-carb diet, high-sugar diet)

 

などと間違われる事が多いそうです。どれも疲れ・低エネルギー期の多さを伴いますからね。また、睡眠障害も疲れや集中力の低下を伴いますが、本人が自覚していない事も多く(例えば、自分は8時間寝ているつもりでも、浅いレム睡眠ばかりで、脳・ホルモン分泌に必要な「深いノンレム睡眠」が全然足りなかった)という事もあります。

 

 厄介なのは、これらの病気・疾患・障害 が全く別々に存在するわけではなく、個人が同時に複数の疾患 (障害を含む)を患っているという事も珍しくありません。

 

 例えば、私は睡眠障害を患う事が多いですし、LOHの方は、コルチゾールの分泌が多く、過剰なコルチゾールは脳細胞を破壊するので(これがLOHが認知力低下に至る最大のメカニズムです)、私は3月下旬、体調が悪化し始めた頃から、睡眠中の脳内コルチゾールを減らすサプリ(Calcium Citrate)を就寝前に飲み始めました。飲んだ時の方が、少し良く寝れる気がしますが、認知力(特に短期記憶、うっかり忘れ)が最悪だったのが先月とその前(6~7月)なので、一概に効いているとは言えないかもしれません。6~7月は仕事で目が回る時期だった、天候も悪かった、そして最近はこの暑さで健常者でも体調不良、睡眠の質も下がる、というあり様ですから、自分だけではないのだ、と認識する事も大事だと思います。

 

 また、LOHだとドーパミン(やる気ホルモン)の分泌も下がる(これがAD/HDの一番の原因とされています)ため、AD/HDと誤診されるというよりも、同じ症状(名前は違えど、結局のところ同じ疾患)を持ってしまうのです。アメリカのサイト・動画・論文ではこういった事がよく取り上げられているのですが、日本ではLOH・男性更年期とAD/HDが完全に分けて考えられています(前者は泌尿器科、後者は心療内科・精神科・脳外科、と役割分担されているため、総合的な治療を謳っている日本の大学病院やクリニックでも、総合的な事は実際何もやっていないではないか、というのが私のこの1~2年の所見です。専門医は自分の専門以外、答えてくれないので、自分で他の専門家を当たるなどして、自分でやるしかありません。そうやってこのサイトも立ち上げました)。ちなみに、3か月位前ですが、ドーパミンとLOHの強い相関の英文記事・論文をいくつか読んだ後、

 

「ああ、これなら自分のADDに似た長年の酷い症状を説明できる。」

 

と思い、担当医に テストステロンとドーパミンの関係を聴いてみたところ、天井を見上げるように、困ったような笑顔で暫く考えたあと、

 

「テストステロンの分泌が減るとドーパミンの分泌も減る事がありますが、それほど直接的には影響しませんから、心配しなくていいです。」

 

とニコリと微笑みながら答えてくれました。実は私、この数か月、自宅の部屋の片づけが更に出来ない(殆どゴミ屋敷です)、物を毎日のようになくす、など、ADD(ドーパミン不足)の症状が出ているので、上記の担当医の言葉に今でも懐疑的です。実際、数か月前、ドーパミン(L-Dopa Mucunaというサプリ)を摂取してみたところ、体が勝手に動くように仕事も掃除も片付いてしまいました。ただし(チロシンもそうですが)、2日・3日と使い続けると、直ぐに耐性が付いてしまい効かなくなるので(週末は使わないようにして、ウイークデーも微量を摂取していたのですが)、2週間目に入るともう効いていない事を体で感じ、直ぐに使わなくなりました。L-Dopaは(体に優しいと言われるMucuna豆を天然原料としたものでも)直ぐに耐性が付いてしまい、半年もすると全く効かなくなるので、医師の指導の下に量や摂取タイミングを微調整しながら摂取する場合(パーキンソン病の患者など)を除き、個人・素人が行うべきではないそうです。ドーパミンの先駆物質であるチロシンでも(竹の子など、自然食品であっても)耐性が直ぐについてしまいます。そこで、今考えて居るのが、チロシンの先駆物質を食品から摂る、という物で、最近(牛乳から抽出した)カゼイン100%のプロテイン・パウダーを飲み始めようか、と考え、ネットで吟味して注文したばかりです。鬱(うつ)症状にも効くそうです(このサイトの別の読者の方に数か月前に教えて頂きました。有難うございました)。

 

http://u-drill.jp/contents/1b.html

 

 ちなみに、上記のページで大豆プロテインが選択肢として挙げられていますが、男性更年期・LOH症候群の方は避けたほうが良いです。大豆中のイソフラボンが男性ホルモンを女性ホルモンへ変換してしまうため、症状が悪化してしまいます。

 

 ちなみに、LOH症候群のAD/HDに似た症状はドーパミン不足によるものだけでなく、テストステロン不足によって脳のやる気スイッチ(線条体)が入らない、というメカニズムが最近になって詳しく解って来ています(ためしてガッテン!で今年の6月に放送されました)。

 

 さらに、ここが一番重要なのですが、LOH症候群の場合、テストステロン値が かなり低いために、細胞中のミトコンドリアがエネルギーを十分生産することが出来ず、活力・スタミナが低下し、細胞の老化が急速に進むのです。

 

 ブドウ糖・脂肪酸などカロリー(熱エネルギー)として代謝に使われる物質は、血中に溶け、毛細血管などで体の隅々まで運ばれたあと、ATPという物質に変換されて細胞内に取り込まれます。これを 細胞内のミトコンドリアが酸素燃焼により、エネルギーへに変換します。テストステロンが低下すると、ミトコンドリアが カリウムを取り込み、ATP をエネルギーに変換する代謝メカニズムが健常者のように働かなくなるために老化が進み、このためLOH症候群の人は早死にする(寿命が短い、長生きしない)傾向がある、と 以下の堀江先生の御本に説明がありました。(この本は、サイエンス・ライターの竹内薫さんによるインタビュー本で、4人の学者が登場します。全4章のうち、第2章が堀江先生との対談で、男性更年期・LOH症候群についてです)

 

がんばる人ほど老化する―ストレスをかわす技術
クリエーター情報なし
日本経済新聞出版社

 

 つまり 重度のLOH症候群の場合、体や脳、心は老人と同じ、と考え、では脳や体の若返りのためにはどうするか?と行動に移すことです。

 

 私は運動・食事療法で体は大分若返りましたが、脳はまだボケたまま(たまに調子よい時がありますが)。それでこの数か月の不調期に、脳の老化症状、つまりそれに似ているAD/HDの症状が目立っているのだと思います(以下のビデオ2つも参考になります)。ミトコンドリアを蘇生させるため、低糖質食にして体に良い脂肪(ココナッツオイル、肝油、オリーブオイル)を摂取していますが、これは ミトコンドリアは脂肪からの方がエネルギー産生が高く、ブドウ糖由来の場合の5倍ものエネルギーを産生するからです。医師が高齢者にMCTオイル・ココナッツオイルなどのケトン食・高脂肪食を勧めるのはこのためです。ミトコンドリアの代謝に必要なカリウムも、サラダや青汁などを多めに摂取していますし、ミトコンドリアの代謝を高めるサプリ(CoQ10)も摂取しています。身体の方は、これで大分回復し、体年齢も随分若くなりました。運動栄養療法はこのまま続けて行けば現状維持出来るので、あとは脳の若返りと心の回復だけです。

 

 うつ症状(これもドーパミンやその先駆物質のチロシンの不足、幸せホルモンのセロトニンの不足が関与しています)も LOHにかかった方なら、誰でも経験された事があると思います。治療が長引くと 鬱・落ち込みもひどくなりますし、私の場合、それに加え、自分が重度のLOH症候群であると診断結果を言い渡された時には かなりのショックでした(こうやって 鬱など になるのを二次障害と呼ぶそうです)。今でも 落ち込む事がよくあります。昨夏から今年2月位までのV字回復期には、そういった事は比較的少なく、もっと建設的に考える機会があったと思うのですが。そういう落ち込んだ自分を観ている もう一人の自分が居て(メタ認知っぽいですが)、こういった記事を書いているのはその「もう一人の自分」です。ですから、こうやって記事をかいたり、日記を付ける事が、自分を客観視する、現状に立ち向かういい処方箋になると思います。そうやって、(低テストステロン以外に)自分の症状の原因と思われる事、例えば「睡眠の質が足りていない」と言った事を1つ1つ改善していくしかないと思います。

 

 あと、上のビデオには出てきませんが、LOH症候群など、テストステロン値が低い方は、癌(がん)と間違われる場合もあります。実際、癌にかかっている方や、がんの治療を受けている方にはテストステロン値が かなり低くなっている方が結構いらっしゃるそうで、私の知り合いに 白血病の中でも一番致命的なタイプにかかった方が居るのですが、化学治療などを受けて奇跡的に助かったのと引き換えに、現在もテストステロン値がかなり低いままの方が居ます。最近知ったのですが、アメリカのアスリート系の ある有名人 も数年前に白血病にかかり、死に物狂いの化学療法を受けて奇跡の生還・仕事の復帰を遂げたと思いきや、テストステロン値は今でも非常に低い、という方が居ます。彼らについては別の記事で紹介します。

 

 低テストステロン値と注意力欠陥との関係について、今はこの辺まで書くのが限界ですので、ご了承下さい。最近は文書を書くのも辛いですが、若い時に鍛えた英語のお蔭で、上記のビデオなど、海外から発信された英語の情報を観たり聞いたり読んだりして、このサイトで紹介する事が出来ます。人間の脳力(計算力、分析力、論理的思考、問題解決力など)の中で、年をとっても一番衰えにくいのが言語能力なのだそうです。どおりで 最近物忘れがひどく、こんなにボケてしまった頭でも、英語は(ほぼ毎日英語で 読んだり 聞いたり 話したりしているので)今でも不自由なく読んだり聞いたりできますし、そこから日本語に即座に同時通訳していくのは全く問題ありません。今のところは・・・。そうやって今日も、上記のビデオから抜粋した事項を柱に、思いついた事を書き加え、記事を書き上げました。

 

 しかし波もあって、頭では何を書くか解っている・決めているつもりでも、筆が全く進まない事もこの数か月増えてきました。インプットのリーディングや動画鑑賞などは英語でも日本語でもそんなに抵抗はありませんが、文書としてアウトプットにすると更に意志力・集中力が必要となるためか、仕事などで疲れていると、なかなか出来ません。このため、読んだ内容やアイデアを書き留めてPCなどに保存したり、途中までの下書き状態の記事が沢山ありますが(この数年間、仕事でもそういうパターンが多いのですが)、それを調子の良い時に仕上げてアップロードしています。まだまだそういった下書き記事が溜まっていますが、今日の記事に関しては、朝・昼間と考えて居た事を、夜に最初から書き始めて、なんとか今夜のうちに書き上げる事ができました(翌日 などに 誤字脱字をチェックしたり、簡単な加筆修正は行いますが。ボケた頭だと誤字脱字が多いので、こういう長い記事だと掲載後、1日1回、数日かけて何度か見直しては手直ししてしまいますね。4,5回目でも誤字・脱字や酷く変な文などを見つけると落ち込みますが、それが今の私の頭のコンディションです。最悪のコンディションの時は全く筆が進まなかったのが、書けるようになっただけ、少しは回復していると思います)。

 

2014年8月24日(日)に掲載