男性ホルモンを増やす筋トレ・食事・生活術1:

Sean Nalewanyjさん(カナダ)のアドバイス

テストステロンを増やす運動・栄養・生活術などの理論を探し、ネットを検索して偶然見つけたのがSeanさんのYoutubeのビデオ(上下の二つ)でした。男性更年期障害・テストステロンと運動の関係について沢山のビデオや記事を見た中で、現在までの所、Seanさんの説明が一番解りやすく、説得力に溢れていました(内容は論文などで私が個人的に調べましたが、彼の言っている事はちゃんと根拠がある事が解りました)。

 

特にSeanさんの上のビデオは彼の表情や身振り手振りが見れるので解りやすく、人柄も伝わって来ました。興味のある方は彼の率いるフィットネス会社のサイト (Elite Impact Labs)をご覧ください。

 

http://www.eliteimpactlabs.com/users/sean-nalewanyj

 

英語のリスニングのできる方は、上の短いビデオをご覧になると良いと思います(リスニングの苦手な方は、下のビデオをご覧ください。内容が大分かぶりますが、スライド・ショーなので、内容を文字で読み、写真・図を見ながら理解できます)。

 

箇条書きですが、上のビデオの要点を訳しますと、

 

「テストステロン(主要な男性ホルモン)を増加させるには以下の6つのステップを守るべきです。きちんと守り実践し続ければ、はっきりとした効果が表れます。

 

Step number1.筋力トレーニングをする際には、基本的なCompound Exercise(多関節運動、多くの筋肉を・しかも大きな筋肉を必要とするもの)を中心に行えばテストステロンが増加しやすい。

 

具体的には

 ●スクワット

 ●デッドリフト

 ●ベンチプレス

 ●ローイング

 ●懸垂

 ●オーバーヘッド・プレス

 ●ランジ

など。

 

一方、個々の小さな筋肉を(上腕二頭筋・三角筋など)を使った運動だと、テストステロンの大きな増加はあまり見られない。

 

Step number 2. 運動の重量負荷を上げる。

 

自分の力の100%を出し切って行うつもりで。楽に行えるようであれば、テストステロンもそれほど分泌されない。

 

というのは、こういった強度大の負荷運動に筋肉群が疲れた際に、体が疲弊した筋肉を修復する目的・形でテストステロンが分泌されるからであって、そうでない軽い疲れであれば、テストステロンの分泌量も少ないままである。だから筋トレには真剣に、力の限り取り組んでほしい。

【訳者注:Seanさんのこのビデオは、筋トレを現在ある程度行っている人、伸び悩んでいる人を対象としており、筋トレをやった事のない方や、最後に筋トレを行ってから大分経っていて筋力の衰えている方を対象としていません。そのような初心者・トレーニング再開希望の方は、前回の記事、『筋トレのススメ』をご覧ください。ストレッチやウオーキングから入って、徐々にウエイト・トレーニングを取り入れていく入門書(中高年対象)も紹介しています。

  男性更年期からの回復や予防のためにある程度筋トレを行っている方は、Seanさんのビデオのトレーニング・メニューを参考にしてください。彼の主張する負荷や回数は最終目標と考えるべきで、数か月・一年かけて目標に達する事が出来れば十分だと思いますし、怪我や事故のリスクも減ります。また、過剰な運動で疲労が翌日も残る、疲れているのに無理して運動を続けるようであれば、テストステロン値 は逆に下がっている可能性が高いです。】

 

Step number 3. 上半身の筋肉ばかり気にせず、下半身の筋肉も負けずに鍛え上げる事。

 

テストステロンの増加にもっとも効果のある筋肉群は両脚である。その理由の一つは(太ももなど、太腿四頭筋など大きな筋肉が集まっている他に)、脚を使ったエクササイズをすると、(大臀筋・上体の筋肉群など)体の他の部分の筋肉も多数稼動するからである。上述したように、体全体の筋肉群を疲弊するくらい(短時間で)鍛える、というのがテストステロン増加の大きな鍵となる。そうした理由から、脚を使った強度大の筋トレを優先して行うようにしよう。

 

Step number 4. 必須脂肪酸(Essential Fatty Acid: EFA)を十分摂取しよう。

 

EFAは体に良い脂肪分で、テストステロンの生成に不可欠である。具体的には、

 

●ナッツ類

●(カボチャ・ひまわりなどの)種

●アボカド

●(深海魚など)冷たい水に住み、油の載っている魚 【日本でいう所の青魚】

●オリーブ油・亜麻仁油など、健康的な油

 

一日あたりの消費カロリーのうち、少なくとも20%が脂肪から来るようにし、その脂肪の内訳も、上記のようなEFAに富んだ不飽和脂肪酸(unsaturated fat) に由来するように心がける。脂肪の摂取量が減ると、テストステロンの分泌量も減少してしまうので注意!

【 訳者注。現在の日本の厚生労働省の推薦は成人男性の脂肪摂取の目標量、つまり上限は、一日のカロリー摂取量の30%で、それ以上を摂りすぎとしています。以下のリンク先から同省の報告書をご覧になれます。

 

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4g.pdf

 

日本の30歳以上の成人の平均が一日のカロリーに対して脂肪を25%以下しか摂取していませんので、Seanさんの言う20%以上を目標というのは、決して多い量ではありません。脱メタボや痩せたい思いで、脂肪摂取を減らしすぎると、テストステロン・男性ホルモンの分泌量が減ってしまうという、怖いことになってしまうんですね。詳しくは厚生労働省の報告書をご覧ください。】

 

Step number 5. アルコールの摂取を減らす。

 

アルコールの体への害は心臓血管系・脳・膵臓・肝臓の疾患、肥満、ビタミン欠乏、脱水、有害物質の生成、睡眠阻害など、数多く知られているが、テストステロンの分泌にも大きな害を及ぼす。例えば、普通の人が(今夜はいつもより)飲みすぎた、というような状態では、テストステロンが25%も減少する事が解っている。

 

アルコールは普段は出来るだけ飲まないように努め、たまに人付き合いで飲んだとしても、少量にとどめておく。

 

Step number 6. 毎晩十分な睡眠を摂る。

 

十分な睡眠はテストステロンの生成だけでなく、成長ホルモンの生成にも不可欠である。一日に8時間ぐっすりと眠ること。もしそれでも足りないようであれば、8時間以上寝るようにする。睡眠を質・量ともに削ると、テストステロンの分泌量が減少してしまう。(仕事や筋トレ・プライベートで睡眠時間を削ったり、就寝の遅い人はご注意を!)

Seanさんの以下のビデオ(スライド・ショー)では6つではなく、8つのステップでテストステロン増加法が説明してあります。スライド・ショーで文字が読め、図も見れるので、理解できる方も多いと思いますが、英語を読むのが苦手な方のために、以下に要旨を訳しますね。ただし、先のビデオの「6つのステップ」と重複する部分が多いので、そこは簡潔に書いて飛ばしながら訳しますね。

 

 

Step number1.筋力トレーニングをする際には、基本的なCompound Exercise(多関節運動、多くの筋肉を・しかも大きな筋肉を必要とするもの)を中心に行えばテストステロンが増加しやすい。

 

これは冒頭のビデオと同じ内容です。ただし、上のビデオでSeanさんが紹介したベンチ・プレスなどのトレーニング・メニューの他、以下の二つがメニューに加わっています。

 

●ディップ

●ミリタリー・プレス

 

Step number 2. 運動の重量負荷を上げる。

 

これも冒頭のビデオの内容と同じです。ただし、Seanさんが追加しているのは、

 

各セットで数回の反復(Rep, repetition)を行うのが常ですが、最後の(一回ではなく)2回の反復(Rep)が極度に難しく(extremely difficult)しかも不快である(uncomfortable)と感じないのであれば、トレーニングの強度(負荷)がまだ足りないのだそうです。筋トレのRep実施中に楽しい、楽だと感じるという事は、テストステロンを最大効果を狙って出すのにはまだまだという事ですね)。Seanさんのまとめの一言は、

 

強度が弱いほど テストステロンの分泌量も少ない、ということを肝に銘じて置くように」との事です。【押忍!】

 

【訳者注:このビデオも、冒頭のビデオと同様、現在筋トレを行っている人を対象にしており、初心者向けではありません。これから筋トレを始める方は、前回の記事『筋トレのススメ』をご覧ください。】

 

Step number 3. 脚を筋肉を鍛えると上半身も筋肉も使われ、男性ホルモン・成長ホルモンの分泌が盛んになり、体全体の筋肉増量がホルモンの同化作用によって行われる。

 

これも冒頭のビデオの内容と重複しますが、今回のビデオでSeanさんはテストステロンだけでなく、成長ホルモンの話もしています。【訳者注:この仕組みについては、日本語で素晴らしい入門書があるので、いつか紹介します】。

 

ただ、ここでSeanさんが強調しているのは、筋トレをする際、毎回忘れずに 10セット の レッグプレス、スクワット、レッグプレス、ランジ、デッドリフト などを行わなければ、テストステロン値の望ましい上昇が得られない、という事です。こうしないと体全体からテストステロンの多量分泌のための信号を脳へ送れないのです。脚を使った負荷強度・荷重の大きいメニューを毎回かならずこなすようにして下さい。

 

Step number 4. 必須脂肪酸(Essential Fatty Acid: EFA)を十分摂取しよう。

 

これも冒頭のビデオの講義と同じですが、必須脂肪酸(EFA)を含む食品群として、

 

緑色の葉野菜(Leafy Green Vegetables)

 

を加えています。(ケール、かぶ類とその葉、ほうれん草、ブロッコリ、キャベツ、など)

 

また、豚の油を控え、EFAの多い食品を摂るなど、健康に気を使った人でも、EFAを確実に摂取するためには、毎日

 

●亜麻仁油(Flaxseed Oil)を茶さじ1-2杯

●非精製のオリーブ油(Extra‐virgin Olive Oil)も茶さじ1-2杯

 

を直接飲むようにすると良いそうです。

 

【訳者注:もう20年前ですが、私が大学の寮で一緒だった友人がイギリス人のボディービルダーで、そういえば台所で毎日、亜麻仁油を直接、スプーンで飲んでいましたね。当時の私は呆れていましたが、ちゃんとした理由があったんですね。彼の場合、3食とも自炊していました。バランスの取れた食生活で、オリーブオイルもExtravirgin Olive Oil をいつも使ってましたよ。】

 

Step number 5. 大豆製品の摂取を減らす。(新項目)

 

大豆に含まれるイソフラボンは女性ホルモンを増やし、結果として男性ホルモン(テストステロン)を減らしてしまいます(女性ホルモンは男性ホルモンが変化して出来るため)。大豆・豆乳など、短期・少量の摂取は問題ありませんが、長期に渡って摂取を続けると、テストステロン値に影響してきます。

 

Step number 6. アルコールの消費を減らす。

 

冒頭でのビデオの Step number 5と同じ内容です。血中のテストステロン値を減らすだけでなく、タンパク質の生成を阻害するため、筋肉も付きにくくなり、体の修復にも支障が出るようです。

 

Step number 7. 日常のストレス量を減らす(新項目)

 

心因的・身体的ストレスが増え過ぎると、コルチゾールという抗ストレスホルモンが過剰に分泌されます。コルチゾールは筋肉を分解し、脂肪をおなかの周りに溜め、血中のテストステロン値を下げます。このため、過剰分泌が続くようなストレス環境なら、筋トレの効果も見られません。まず、ストレス環境を即急に変える必要があります。

 

コルチゾールの過剰分泌を起こす要因のうち、身体的なものは

 

●過度のトレーニング

●睡眠不足

●その他ストレスの溜まる生活習慣

 

などがあります。生活習慣や環境を変えて毎日のストレス軽減を図りましょう。具体的には

 

●楽しい事、自分の好きな事をする。

●予定・計画を早めに立てて実行する。

●将来の展望を明るく前向きに持ち、ポジティブな態度を心掛ける。

 

などがあります。

 

Step number 8. 毎晩十分な睡眠を摂る。

 

これは冒頭のビデオの Step number 6 に相当しますので、そちらを御覧ください。

 

量・質ともに十分な睡眠を摂ると、テストステロンおよび成長ホルモンの分泌が盛んになり、コルチゾールの分泌が減るため、テストステロンや筋肉・体を作るのに重要です。

 

2012年11月26日に掲載

2012年11月28日に日本語訳を加筆